中小企業新事業活動促進法≪徹底活用ガイド≫
4.都道府県の承認 承認申請の手続及びその留意点
承認申請の手続は都道府県により若干異なるが、申請から承認までの一般的な手続は以下の通りです。あわせて承認申請上の留意点をお話します。
4−1申請書様式・記載要領の入手
申請書は中小企業庁様式以外に、各都道府県で独自の様式が用意されている場合があります。また中小企業庁様式の他に補助シートや補足資料等の追加資料が必要な場合もあります。申請書については、各都道府県のホームページからダウンロードが可能な場合も多いので、まずは申請書を入手して書式を確認したい。申請書様式と同様に、各都道府県には「中小企業新事業活動促進法の手引き」または「経営革新計画の記載要領」などの名称で独自の申請マニュアル・記載要領があります。必要な添付書類・記載方法や注意点が詳細に書かれているので、こちらもホームページまたは窓口から入手しておくとよいでしょう。
4−2初回相談
相談窓口は都道府県庁にある産業労働局経営支援課、商工労働部経営支援課または中小企業支援センターとなる場合が多いですが、これも事前に確認しておきましょう。ちなみに東京都は産業労働局商工部経営支援課が窓口となります。東京都には業種別に10名程度の担当者がいますが、他の道府県では1,2名の担当者で申請業務を行っているところもあります。初回相談時には、事前に経営革新計画の概要だけでも作成した上で訪問することがいいでしょう。その概要があれば、担当者がその事案を見て「新たな取り組み」に該当するかの判断ができるからです。事案の内容に自信がなければ、「これは新たな取り組みと認められますか」と聞いてみてもいいとおもいます。多くの都道府県は積極的に承認企業を増やそうとしているため、何らかのヒントを与えてくれるもあります。
4−3第二回相談
初回相談時に指摘された内容を補正し、ひとまず申請書類を完成させて二回目の訪問をする。担当者は、自分自身が審査会において各案件を説明するため、審査会で質問を受けると思われる箇所について補足説明を求めます。この際に新たな取り組みについて、既存の商品やサービス等との違いを対比表にまとめると、担当者へ説明しやすい上、担当者においても審査会での有効な資料になります。また、担当者の理解を深めるため、申請書の内容を補完する資料として図表や比較データを作成し、申請書に添付するとよいでしょう。この第二回相談後に担当者からメールで申請書の記述内容についての指摘事項が届くので、その修正、補足により申請書を完成させていきます。実際にはこれを何度も繰り返していきます。
4−4申請
次は、上記の申請書の提出です。申請は手渡しのみ受付ける場合が多いですが、郵送も可能な都道府県もあるので確認を要します。申請後も審査会開催までは申請書の一部書き直しなどを要求されることもあります。この場合もメールでのやり取りで調整した後、正式修正版を手渡しまたは郵送で提出します。また、申請書の締切りは、月末としている都道府県が多いです。
4−5審査会
月末に提出された申請書につき、翌月の審査会において審査・決議が行われます。なお、その審査会は月一度開催する都道府県が一般的ですが、月二回開催や二ヶ月に一度開催する県、審査会そのものを開催せず随時承認をしている県など都道府県により対応がまちまちです。審査会の開催時期も承認までの日数と密接に関係するので、申請窓口の担当者に確認が必要です。
審査会のメンバーは都道府県の職員、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、商工中金、信用保証協会、中小企業振興公社、中小企業支援センター、中小企業診断士などで構成され、申請窓口の担当者から承認企業概要説明後、メンバーにより質疑が行われているようです。
4−6承認
上記のとおり審査会は行われていますが、実際は申請書が受理されれば、ほぼ承認はされます。申請から承認までは通常1ヶ月程度を要する都道府県が多いですが、審査会の開催頻度などにより、承認までの日数に影響があります。助成金の申請や承認が前提の融資など、承認期日が重要になるため、あらかじめ承認までのスケジュールを十分に検討する必要があるでしょう。
4−7承認後の支援策
また中小企業金融公庫や国民生活金融公庫などの低利融資や信用保証協会の別枠保証などを希望する場合には、承認前から関係金融機関に相談します。
金融機関に事前相談をかけている場合は、承認後即融資が受けられる場合も多いです。
平成16年度東京都の実施した承認企業の進捗状況の調査、いわゆるフォローアップ調査(旧法支援法承認企業)によると、最も利用されている支援策は、政府系金融機関からの低利融資(70.1%)であり、次に信用保険の特例(38.5%)となっています。また、経営革新支援対策費補助金(同17.6%)は、都道府県の予算との関係から、申請時期は年一回の定時募集をする場合が多くあります。利用希望企業は、補助対象事業・補助対象経費の詳細とともに募集時期についても確認したい。税務上の支援措置は、新法促進法において同族会社の留保金課税の適用停止措置が加えられました。この措置は、承認を受ければ自動的にこの適用停止が受けられるようになり、納税者にとっての利便性が向上しました。同調査での利用は5.3%と低いが、今後は利用企業数が飛躍的に伸びることが予想されます。