中小企業新事業活動促進法≪徹底活用ガイド≫
7.税理士の役割
税理士は、税務顧問として、承認によって関与先企業が利用できる税務上の優遇措置、特に同族会社の留保金課税の適用停止による節税メリットを把握することができます。もし、自らの顧問税理士からではなく、他の者からの情報提供により、当該優遇措置や節税メリットを知ったとすると如何でしょうか。まず信頼感の欠如は否めないでしょう。最悪の場合には、善管注意義務違反として損害賠償請求も考えられます。そうならないために、税理士は情報収集に努め、関与先企業の経営者にタイムリーに情報発信することが求められています。
また税理士は、経営者のよきアドバイザーとして、関与先企業の日常の取り組みから「新たな取り組み」へとつながる可能性を見出す役割を負っていると自覚すべきでしょう。経営者と面談する機会が最も多いのは、毎月企業を訪問している税理士ないしは税理士事務所であることは間違いありません。その機会を活かし、関与先企業の経営革新による永続的発展に貢献することこそ、税理士本来の役割なのです。逆に、関与先企業が経営革新せずに永続的に発展することはありえないのであるから、税理士が経営革新支援を行わなければ、それは早晩関与先企業の減少により税理士事務所そのものの衰退へとつながると認識すべきでしょう。
このように促進法の承認支援業務は税理士の本来業務と考えられるが、それ以外にも、そこには数多くのビジネスチャンスがあります。促進法の承認支援業務そのものの受託はもちろん、承認後の計画実践に係る業績管理業務、業績管理における経営助言業務、またそこから新規の顧問契約を受託することもあると考えます。
「中小企業新事業活動促進法」の経営革新計画の承認を受けることは、中小企業はもちろん、税理士においても大変意義のあるものです。ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。