中小企業新事業活動促進法≪徹底活用ガイド≫
6.税金の支援策
資金の不要な優良企業にもメリットがあるって本当ですか?
留保金とは、俗にいう内部留保のことで、税引前の利益から法人税を支払い、既に法人税を支払った利益の残額から配当や役員賞与を支払った最後の残りをいいます。通常、内部留保とは既に法人税を支払った課税済みのはずですが、現在の日本にはこの課税済みの内部留保にさらに税金を課する制度があります。それが同族会社の留保金課税の制度です。ちなみにドイツにも同様の制度があるそうです。
現在、留保金課税が不適用になるケースが主にふたつあります。ひとつは設立以後10年内の中小企業、もうひとつは自己資本比率が50%以下の会社です。しかし歴史のある自己資本の豊富な優良企業についてはこの不適用の要件には該当しません。
つまり、順調に業績を上げ続けている同族中小企業ほど、通常の法人税に加えて留保金課税の税金がかかることになります。しかし平成17年度の税制改正で「中小企業新事業活動促進法」の経営革新計画の承認を受けた事業年度については留保金課税が停止されることとなりました。
留保金課税の税金がかかっているかどうかは、法人税の申告書の一枚目である別表一(一)の9欄(留保金に対する税額)または三枚目の別表三(一)の一番右下の36欄に数字があるかないかで確認することが出来ます。ここに金額が記載されている場合は、留保金課税が適用となっているので、「中小企業新事業活動促進法」の経営革新計画の承認を受ければ、単純に記載額相当額が0円となり、その分節税になります。
旧法の「経営革新支援法」における支援措置は、どちらかというと雇用保険の助成金や補助金もありましたが、政府系金融機関の低利融資がその中心でした。しかし今回の税制改正で新法「中小企業新事業活動促進法」の支援措置として、留保金課税の停止措置が盛り込まれたのは、企業にとって実利のある改正となりました。
今後は、この支援策を受けるためだけに、「中小企業新事業活動促進法」の経営革新計画の承認を受けようとする企業もかなりあると思います。私の事務所でも、留保金課税の税金がある全社にお話ししたところ興味津々の様子でした。皆さんの会社でも法人税申告で確認したり、税理士に聞いたりして、もし留保金課税が課税させられていたら、検討する価値大です。
税制面での支援措置はその他に、設備投資減税(機械設備を導入する場合の7%税額控除又は30%特別償却)があります。また経営革新支援法の承認企業に対する欠損金の繰戻還付の制度は廃止されましたので、「中小企業新事業活動促進法」の経営革新計画の承認を受けても、当期の欠損金で前期に支払った税金を取り戻すことはできなくなりました。